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【宮家邦彦のWorld Watch】米匿名高官寄稿の衝撃

移動の飛行機内で記者の質問に答える米トランプ大統領。内憂外患は続く=7日(AP)
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 先週は話題豊富な1週間だった。ワシントン名物記者のトランプ政権暴露本、大坂なおみ選手のUSオープン優勝、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)抜きの軍事パレード、北海道の地震等(とう)である。だがウッドワード記者(ウォーターゲート事件の特ダネ記者)の暴露本に新味はもはやない。テニスはウィリアムズ選手の性差別発言ばかりが注目された。ICBMのない軍事パレードは北朝鮮の非核化を意味しない。今週筆者が選んだテーマは「匿名トランプ政権高官」が書いたニューヨーク・タイムズ紙への寄稿文である。

 「私はトランプ政権内抵抗勢力の一人」と題された小論の内容は破壊的だ。政権内の多くの人々は大統領からアメリカ合衆国を守るため、トランプ氏の誤った判断や命令をあえて実行していない、というのだから穏やかではない。米メディアは同寄稿文を極めて異例と論評し、改めてトランプ氏の大統領としての器に疑問を呈している。

 匿名高官は、「大統領が自らの意思決定の基準となる明確な原則を持たないことは周知の事実」だが、米国民は「仮にトランプ氏が反対しても国のために正しいことをしようとする人々が政権内にいることを知ってほしい」と書いている。当然ながらトランプ氏は激怒した。この匿名高官は「勇気のない臆病者」、寄稿は「反逆行為」だから、司法省は捜査を開始すべしとまで言い切った。もちろん捜査は始まっていない。容疑が不明だからだ。トランプ氏の動きを見れば、この匿名寄稿の内容がいかに正しいかが分かるだろう。しかし、これは米国だけの話ではない。

 今週の筆者の英語コラムでは、「日本にも似たような事件があった。個人の名誉のため名は伏すが、平成21年からの2人の首相は、トランプ氏ほどではないが、普天間飛行場問題や東日本大震災の際に右往左往し、多くの公務員・専門家は彼らの判断や命令に面従腹背した可能性がある」と書いた。さすがに日本では匿名高官による主要紙寄稿はなかったが、政権トップの資質不足は国家にとって致命的とすらなり得るのだ。

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