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【産経抄】9月4日

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 非常に強い台風21号が、本日昼ごろにも、西日本に上陸する。台風の進路予想図を確認するたびに願わずにはいられない。科学の力で進行方向をねじ曲げて、列島直撃を避けられないのか、と。

 ▼実は、ハリケーンの進路を変えられると、豪語する科学者がいた。1932年にノーベル化学賞を受けた米国のアービング・ラングミュアである。晩年には、ドライアイスやヨウ化銀を雲に投下する実験にのめり込んだ。

 ▼本人は試みが成功したと主張したものの、気象学者らの反応は冷ややかだった。科学史家のジェイムズ・ロジャー・フレミング氏も、ラングミュアの「病的な妄想」と判断せざるを得ないという(『気象を操作したいと願った人間の歴史』)。

 ▼人類は古来、気象や天気の支配を夢見てきた。地球温暖化への懸念が広がるなか、科学の力で解決を図る「気象工学」と呼ばれる考え方が注目されてきた。いわば攻めの姿勢から、さまざまな提案が出されている。太陽光を遮断する防御壁を打ち上げて、地球に日陰をつくる。海洋に鉄を散布して植物プランクトンを増やし、二酸化炭素をより多く吸収してもらう。

 ▼もちろん、奇想天外な提案はすべて構想の段階にとどまっている。果たして成果が上がるのか定かではなく、想定外の副作用を生んだ場合、生態系や社会に甚大な影響を与える恐れがあるからだ。たとえば、台風の進路を人工的に変える技術が開発されたとしても、新たな行き先に被害が出た場合、誰が責任を取るべきかという問題が発生する。

 ▼と、いうわけで現在のところ、台風の猛威に対しては、守りに徹するしかない。最新の情報を入手して、早めに避難して身を守る。そして天に祈るしかない。台風よ、一刻も早く去れ!

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