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【正論】難問残すリーマン・ショック10年 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

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 ≪大胆なイノベーションが必要だ

 しかしこの間、「銀行は助けてもらえたのに、住宅ローンを抱えた庶民は救済されなかった」という不満は残った。特に繁栄から取り残された白人中間層の間では、エリート層への反感が深まっていく。トランプ大統領誕生の背景には、このときの金融処理が一役買っていたのではないだろうか。

 日本経済について言えば、当時はバブル崩壊の傷が癒えたばかりで、金融システムは比較的健全であった。しかし海外市場の急速な冷え込みにより、輸出主導型の日本経済は大打撃を受ける。08年末から09年頭にかけては、「2四半期連続でマイナス2桁成長」という落ち込みぶりであった。

 特にリーマン・ショック以降、為替が1ドル120円前後から一気に80円台まで円高になったことが痛かった。日本の輸出額は、07年度の85兆円から09年度の59兆円にまで急減する。そこから緩やかな回復が続き、今年度の輸出は危機前の07年度に次ぐ過去第2位の水準に到達しそうだ。

 しかるに日本の輸出品目上位10種類をリーマン以前と比較してみると、1位の自動車以下、半導体等電子部品、鉄鋼、自動車部品などのラインアップはほとんど変わっていない。唯一、「半導体等製造装置」が加わった程度で、この間の変化は乏しい。

 アメリカ経済は危機を契機に生まれ変わったが、日本経済は危機をじっと耐え忍んだといえるだろうか。わが国製造業の努力には頭が下がるが、今後は大胆なイノベーションも期待したい。

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