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【産経抄】8月30日

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 人間は古来、真夏の暑さをしのぐ方法を探し続けてきた。「冷房の父」といわれる米国人、ウィリス・キャリアがエアコンを発明したのは、1902年である。

 ▼シンガポールの国父、リー・クアンユー元首相が、エアコンを「20世紀最大の発明」とたたえた話は有名だ。確かに赤道直下の都市国家が世界屈指の金融センターの座を獲得できたのは、オフィスを快適に保つ空調設備のおかげである。

 ▼記録破りの連日の酷暑を経験すると、改めてリー氏の意見に同調したくなる。この夏、熱中症のため倒れた高齢者の多くが、自宅でエアコンを使用していなかった。運ばれた先の病院でもエアコンが作動しなかったとしたら…。想像するだに恐ろしい。

 ▼岐阜市の「Y&M 藤掛第一病院」に入院していた80代の男女4人の患者が26日から27日にかけて相次いで亡くなり、さらに28日夕に、84歳の男性患者も死亡していたことがわかった。5人がいた部屋のエアコンは故障しており、扇風機が置いてあるだけだった。岐阜地方気象台によると、26日の岐阜市は、最高気温36・2度を記録している。

 ▼岐阜県警は、5人が熱中症で死亡した疑いがあるとして、業務上過失致死容疑を視野に経緯や死因を調べている。これに対して院長は、「エアコンの故障が死亡につながったとは考えていない」と因果関係を否定した。

 ▼2020年の東京オリンピック・パラリンピックの招致プレゼンテーションで、キーワードとなったのが、「おもてなし」だった。英語でいえば、hospitalityである。この言葉から、hospital(病院)が生まれた。高齢の患者を劣悪な環境のまま放置していたとしたら、少なくとも「病院」を名乗る資格はない。

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