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【ロンドンの甃】英国で日本の軍歌「露営の歌」を耳にして…

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【ロンドンの甃】
英国で日本の軍歌「露営の歌」を耳にして…

 勝ってくるぞと 勇ましく 誓って故郷(くに)を 出たからは 手柄立てずに 死なりょうか…

 まさか英国で、日本の軍歌「露営の歌」を聞くとは思わなかった。さきの大戦中、18歳で英国の秘密日本語学校で日本語を学び、日本陸軍の暗号を解読したパトリック・フィールドさん(92)はロンドン近郊の自宅でインタビューの途中、よどみなく5番まで口ずさんだ。

 日中戦争が始まった昭和12(1937)年、戦意高揚のためにできたこの歌は、「死」や「いのち」という言葉が数多く登場し、兵士の勇壮と悲壮が交錯する歌として親しまれた。

 日本語を半年間で速修する合間に仲間と覚えたという軍歌を、終戦から73年経ても正確に覚えていた。「死と隣り合わせの戦争に飛び込む日本兵士の心情を映しているようでひき付けられたからだ」と話すフィールドさん。

 戦争が終わり、ケンブリッジ大を卒業して、電話や電報などの通信を傍受・分析する政府通信本部(GCHQ)に入った。アラビア語やスロベニア語などをマスターできたのは、「日本語を短期間で習得した自信から」という。戦争のため学んだ日本語が、「自分の人生を導いた」と振り返るフィールドさんに干戈(かんか)を交えた日本の文化への敬意があるように感じた。(岡部伸)

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