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【主張】障害者雇用水増し 制度の信頼損なう事態だ

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【主張】
障害者雇用水増し 制度の信頼損なう事態だ

 行政機関や企業に法律で義務づけられている障害者雇用の水増しが、中央省庁をはじめ相次いで見つかっている。

 障害者雇用を率先する立場でありながら、組織的な脱法行為を行っていたと言われても仕方あるまい。早急な実態調査はもちろん、原因などを徹底して洗い出さなければならない。

 障害者手帳や診断書を持たないなど対象外の職員を障害者として算入し、障害者の雇用率を水増ししていた疑いがある。

 以前から障害者手帳などを確認せず、交通事故や病気の後遺症などで障害があると判断した人を雇い入れ、長年にわたって障害者雇用を底上げしていたようだ。

 総務省や国土交通省、文部科学省など水増しが明らかになる省庁が日に日に増えている。

 安倍晋三首相は24日、加藤勝信厚生労働相から調査状況の報告を受けた。28日に公表されるというが、発覚から1週間以上たっており緊張感を欠いている。

 地方自治体などでも同様のケースが相次いで見つかっている。実態を急いで確認すべきだ。

 そのうえで政府は障害者手帳を確認するなどの手順を明確化し、周知徹底を図る必要がある。

 障害者雇用促進法は、国や地方公共団体、企業などに対して障害者を一定の割合で雇い入れるように義務づけている。企業が2・2%、国・地方公共団体は2・5%などと定められている。

 法定雇用率に満たない企業は、不足人数1人あたり月額5万円を国に納付する仕組みだ。

 民間には厳しいペナルティーを科しながら、範を示すべき中央省庁がいいかげんな算定をしていたことにあきれる。

 国などの法定雇用率は民間より高く設定され、今年4月に引き上げられたばかりだ。障害者雇用を積極的に社会に対し示す意味があるのに、水増しが横行していたのであれば、制度を真剣に進める姿勢さえ疑われよう。

 障害者雇用をめぐっては、4月から精神障害のある人も雇用義務の対象に加わり、官民でその拡大を目指している。

 そうした中で不適切に算入した人を除けば、実際の障害者雇用の割合は半分近くに減る省庁もあるとみられる。政府は障害者雇用制度の根本を揺るがす事態だと厳しく受け止めなければならない。

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