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【日曜に書く】世界を苛む「スターリン」の影 論説委員・斎藤勉

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【日曜に書く】
世界を苛む「スターリン」の影 論説委員・斎藤勉

映画「スターリンの葬送狂騒曲」のワンシーン 映画「スターリンの葬送狂騒曲」のワンシーン

 スターリンの言葉、機嫌、挙動一つで取り巻き連中は凍り付き、「人民の敵」に仕立て上げられるや、虫けらのように消されていく。その残忍な恐怖政治の映像はあまりにリアルで、いまの北の現実、さらには中国の反体制派弾圧の実態もかくや、と想像してしまう。

 プーチン氏は第二次大戦勝利で祖国を「超大国」に押し上げた「英雄」の赤裸々な恥部を覆い隠したかったのだろう。

 スターリンの「復活」を何としても阻止したいフルシチョフらは、大粛清の執行人でギラギラした野心家の秘密警察トップのベリヤを電撃逮捕、処刑してドタバタ劇に終止符を打つ。

 興味深いのは、ベリヤが銃殺後、衆人環視の中でガソリンに火をつけて灰にされる処刑シーンだ。この描写は正恩委員長が5年前、自分の叔父で国防委員会副委員長だった張成沢氏を処刑した残酷なやり方を彷彿(ほうふつ)とさせる、との声も聞かれた。

粛清も度が過ぎると

 しかし、粛清も度が過ぎるとブーメランとなって独裁者にハネ返る。スターリンが脳出血で倒れたあと、治療すべき優秀な医師たちはみな粛清で「収容所かあの世」に追いやってしまっていた。金正恩氏もあるいは内心、「しまった」と臍(ほぞ)をかんでいるのかもしれない。米トランプ政権の「非核化」圧力の渦中で、中国の強力な後押しが必要なときに、中朝間の最も太いパイプ役とされた張氏を自らの手で葬り去ってしまったからだ。

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