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【正論】古代の回顧を精神再興の礎に 文芸批評家・都留文科大学教授・新保祐司

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 ≪国家の始まりの歴史を意識せよ

 その後、大和大国魂(やまとおおくにたま)神社に参拝した。淡路島に「大和」の名があるのに興味が惹(ひ)かれたからである。『古事記』に、槁根津日子について「此は倭国造等の祖」と書かれていたことと関係があるのであろう。『万葉集』巻三には、柿本人麻呂の羇旅(きりょ)の歌「天離(あまざか)る鄙(ひな)の長道(ながち)ゆ恋ひ来れば明石の門(と)より大和島(やまとしま)見ゆ」があるが、明石海峡から大和がそのように見えて来る絶妙な距離感の中で「倭国造等の祖」槁根津日子は登場するのである。いずれにせよ、今回の淡路島への「羇旅」は日本の古代への郷愁をかき立てるものであった。

 翻って思うに、日本人が古代の歴史を失って久しい。神武天皇の東征や橿原の地での即位などについての知識もあまり共有されていないのではないか。しかし、国家の始まりの歴史が深く意識されていない民族は、恐らく民族とはいえないであろう。2月11日の「建国記念の日」が何に基づいている祝日であるかを国民がよく知り、それを心から祝わなければならないはずである。これが、日本人の精神の真の再興の礎である。

 交声曲「海道東征」の演奏会が、今年の12月19日に東京芸術劇場で開かれる。来年には、即位と改元を控えた4月12日に同じ東京芸術劇場で、9月4日には札幌コンサートホールKitaraで、11月8日には大阪のザ・シンフォニーホールで演奏される。

 これらを通して、この曲は国民必聴の音楽となっていくに違いない。そしてこの音楽を聴くことによって日本人は日本人であることの意義を深く思うであろう。初代天皇である神武天皇の東征と即位を謳(うた)いあげた名曲だからである。(しんぽ ゆうじ)

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