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【産経抄】8月24日

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 宅配便サービスの生みの親といわれる故小倉昌男さんは、ヤマト運輸の会長を退任すると福祉の世界に飛び込んだ。現場を歩くと、障害者の月給があまりにも安いことに衝撃を受ける。

 ▼「賃金1人10万円以上」を実現するため、自らパン店を開業して、障害者が働ける場をつくりだした。小倉さんが従業員とパンを焼く姿もみられた。一般企業に対しても、障害者の雇用を進めるよう呼びかけた。

 ▼障害者雇用促進法は、民間企業や公的機関に、一定割合の障害者の雇用を義務づけている。模範となるべき国や自治体の場合、現在の法定雇用率は企業より高い2・5%に設定されている。昨年6月1日時点では、国の33行政機関は、計6900人の障害者を雇用し、平均雇用率は2・49%だった。

 ▼ところがこれが偽りの数字である事実が発覚した。障害者手帳が交付されていない軽度の人も合算していた。多くの省庁で、実際の雇用率は1%を下回る。悪習は40年以上も続いていたという。その後各自治体でも、雇用水増しの実態が次々に明らかになっている。

 ▼小倉さんといえば、「官僚と戦う男」として知られていた。宅急便の全国展開の前に立ちふさがった旧運輸省に対しては行政訴訟を起こした。旧郵政省とも、ヤマトの始めたメール便が「信書」にあたるかどうかをめぐって、激しい論争を繰り広げた。

 ▼「官僚は虫歯みたいなもの。抜いてしまった方がいい」。そう言い放った小倉さんも、障害者に対する中央省庁や地方自治体の冷たい仕打ちを知ったら、怒りを通り越して、あきれかえるしかないだろう。「日本人の人口に占める障害者の割合を考えれば、雇用率は従業員全体の5%でもいい」。小倉さんは生前、こうも語っていた。

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