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【風を読む】低金利の「副作用」を嘆く前に 論説副委員長・長谷川秀行

 スルガ銀行東京支店が入るビル=東京都中央区
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 先ごろ日銀が決めた金融緩和の微修正は、実に分かりにくいものだった。現在の極めて低い金利水準を維持すると約束しながら、その一方で、長期金利の若干の上ぶれは認めるというから、どっちなんだ、と思わず突っ込みを入れたくなる。

 ただ、ややこしくはあってもやむを得ない政策である。期待ほど物価が伸びず、デフレに戻る懸念が残る以上は現行の大規模緩和を続けるほかない。さりとて超低金利の副作用も無視できず、ある程度の金利変動は是とせざるを得ないからだ。

 ここで気になるのが緩和の副作用である。その一つに銀行の収益を圧迫しているという批判がある。長引く超低金利で貸し出しの利ざやが縮小し、資金運用環境も悪化した。特に地域金融機関は、人口減少に伴う市場縮小などと相まって経営環境が厳しい。これによって地域経済の「血流」が滞れば、景気を冷やすことになりかねない。

 それでも、ことさら銀行収益への副作用を取り上げることには引っかかるものがある。銀行がどれほど顧客第一の経営に徹し、収益力を高める改革に取り組んでいるか。残念ながら疑問に思うことが多いからだ。

 シェアハウス投資に絡んで書類改竄(かいざん)などがあったスルガ銀行や、不適切営業が横行していた東日本銀行などの不祥事は言うに及ばない。懸念するのは、経営環境の悪化を踏まえた抜本的な改革機運が業界全体に行き渡っていないことである。

 例えば金融庁による地銀調査では、営業目標を達成した店舗が皆無なのに実現可能性のある経営計画を講じない銀行や、5年目以降に採算割れになると試算しているのに住宅ローンの商品性を見直さない銀行などの問題事例が数多く見られた。

 かつてバブル崩壊で不良債権を抱えた銀行に公的資金を入れたのは金融システム全体に不安が生じたからだ。今の金融政策も個別行のためにあるのではなく、目的は日本経済がデフレから完全脱却することにある。銀行が副作用を嘆く前にやるべきなのは、自己改革に徹して地域経済に貢献することである。

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