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【風を読む】自民党総裁選とトランプ発言 論説副委員長・榊原智

 トランプ米大統領(ゲッティ=共同)
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 自民党総裁選を前に、トランプ米大統領が、世界を危うくするような失言をした話を、取り上げたい。

 トランプ氏は7月17日放送の米テレビインタビューで、米国が集団的自衛権に基づき守り合うことを約束している、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のモンテネグロを突き放したのである。

 バルカン半島にある人口60万人の小国である。トランプ政権下の昨年6月、NATOに加わった。

 「モンテネグロを攻撃から守るために、なぜ私の息子が(米兵として)行かなければならないのか」とインタビューで問われたトランプ氏は、「理解できる。小国だが非常に好戦的な国民がおり、(集団防衛義務を果たせば)第三次世界大戦になる」と答えた。

 第三次大戦云々(うんぬん)は、バルカン半島情勢をきっかけに起きた第一次大戦を意識した、下手な冗談であろう。それでも、米大統領の発言として不適当だと批判された。本当に同盟国を見捨てるようなことがあれば、米国は信を失い、世界の秩序はがたがたになってしまう。米国務省報道官は「一加盟国へのいかなる攻撃も(NATO)全体への攻撃とみなす」と釈明した。

 米国と同盟を結ぶ日本としてもひとごとではない。米国にとって使えない国は守るに値しない、守りたくないというのがトランプ氏の本音であるからだ。

 安倍晋三政権は、苦心して集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障法を制定した。画期的だが、一国平和主義にひきずられた国情から、集団的自衛権の行使に細々(こまごま)とした制約を設けている。ひょんなことからトランプ氏や内向き志向の米国民の目に、日本がなるべく同盟国を守りたくない「使えない国」と映る危険性はある。

 それを外交でフォローしながらトランプ的な米国と付き合っていかねばならない。日本の首相の困難は並大抵でなく、それができる人物しか務まらない時代になった。今回に限らないが、これは政権政党の党首選の要点である。

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