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【正論・戦後73年に思う】「何もしなかった」平成の日本 作家・堺屋太一

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【正論・戦後73年に思う】
「何もしなかった」平成の日本 作家・堺屋太一

作家、堺屋太一氏(野村成次撮影) 作家、堺屋太一氏(野村成次撮影)

 ≪相続税強化で富豪が消えた

 アメリカのトランプ大統領は税制を改革、相続税の引き下げを公表した。日本ではむしろ相続税の課税強化に走っている。どちらが正しいか、どちらがいいかの問題ではない。世の中の仕組みと発想の問題である。

 私は子供がいないので遠慮なくいえるのだが、世の中の進歩と安定のためには、有産階級が必要であり、「社会の重し」としても大事である。

 現在、国連加盟193カ国のうち、相続税のあるのは少数にすぎない。日本ほど厳しい相続税を取り立てる国は珍しく、最近は相続税逃れのため諸外国に移住する成り金層も増えている。

 フランスでは、現在の富豪上位200軒のうち、半分がナポレオン3世の頃から続く家系というが、日本では明治からの富豪など全くいない。いや、昭和の富豪さえ平成の30年間でほとんど消えてしまった。

 日本で継承されるのはむしろ人脈、えたいの知れぬ人間関係で、息子や娘に権力や人気を引き継がせる方法である。

 ≪嫉妬から逃れ豊かさの追求を

 要するにこの国は、奇妙な人間関係の谷間で、資本主義体制になり切れなかったようだ。それがこの国の短期志向となり、官僚主導を産んだ。

 日本の官僚は真面目で善良で仕事熱心だが、日本社会の奇妙さを反映してか、1年か2年でポストが替わる。

 これでは長期の政策を考えることもできなければ、十分な専門知識も積み上がらない。最近の「有力官僚」といわれた人も、退職すればただの人。天下り先で車が付くのを威張る程度の哀れな存在である。

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