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【緯度経度】「上から目線」のインテリ新聞 脱皮を模索 パリ支局長・三井美奈

パリのスタンドに並ぶフランス各紙=7月16日(AP)
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 パリのカフェで新聞を読む人がめっきり減った。値段を見ると納得。高級紙ルモンドは1部2・6ユーロ(約340円)で、10年で8割値上げした。他紙も同様だから客が減り、売店の閉鎖も相次ぐ。開いている店も入荷不足で、目当ての新聞がないことがしばしば。知人の記者は「新聞はいまや贅(ぜい)沢(たく)品」と笑う。

 新聞がどの国でも苦戦する中、フランスは特に厳しい。全国紙と地方紙を合わせて発行は約600万部。10年で3割近く減った。ルモンドも30万部がやっとだ。破綻寸前になった各紙に近年、外部の資本家が乗り込み、いまはサバイバル競争のさなかにある。

 新聞凋落(ちょうらく)の一因は、新聞が長大な分析や論説を「売り」にしてきたこと。この国は英独のようにスクープやゴシップ満載(まんさい)の大衆紙がない。ひたすらインテリを相手にしてきた。

 論説重視の伝統は歴史に由来する。19世紀、文豪ゾラは新聞の1面に「私は弾劾する」の見出しを掲げ、政府の反ユダヤ主義を糾弾した。ルモンドは第二次世界大戦のパリ解放後、「国の栄光にふさわしい新聞を」というドゴール将軍の唱道で創刊され、リベラシオンは哲学者サルトルら左派知識人が1970年代に設立した。政府は「多様な世論維持」の名目で、新聞・雑誌に年間約8千万ユーロ(約103億円)の補助金を注ぐ。

 だが、「上から目線」の長い論説に、いまどきの忙しい読者は付いてこない。

 さらに、新聞が意識改革を迫られたのは、昨年の大統領選だ。新党を設立したマクロン大統領、極右「国民戦線」(国民連合に改称)のルペン党首による政界アウトサイダーの争いになった。

 ルモンド、リベラシオンは左派、フィガロは保守派に分かれて二大政党を支えてきたから、完全に取り残された。

 3年前から相次ぐテロで、読者の関心は「何が起きたか」「犯人は何者か」に集中。ネット版の速報競争が一気に加速した。

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