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【正論】寛容は双方向でなければならぬ 福井県立大学教授・島田洋一

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 ≪バランスを見いだす努力が重要

 2012年、コロラド州のケーキ店主ジャック・フィリプス氏がゲイ・カップルからのウエディングケーキの注文を、信仰を理由として断った。もっとも一般の商品やバースデーケーキなら売ると述べている。

 告発を受けた州の公民権委員会は、フィリプス氏の行為を「不当な差別」と認め、同性愛カップルにもウエディングケーキを製造販売するよう命じた。拒否すれば営業許可は取り消される。フィリプス氏は信仰に反して祝福を強要するのは憲法違反だとして、命令の撤回を求める訴訟を起こした。

 最高裁は7対2でフィリプス氏の主張を認めた。リベラル派の2人も賛成に回っている。法廷意見は次のように言う。公民権委員会は寛容の精神に基づき、同性愛者の尊厳と信仰の自由の両立を試みるべきだったが、職責を放棄し、フィリプス氏に一方的に「敵意」を向けた。「公聴会の場で、何人かの委員は、フィリプス氏の信仰を唾棄すべきものと退け、彼の誠実な宗教的信念を奴隷制やホロコーストを弁護する論理に例えた。これらのコメントに異議を唱える委員は一人もいなかった」

 到底バランスの取れた審議だったとはいえないというわけである。同性愛者が不当に差別されたり、辱められたりしてはならないことは言うまでもない。ただ寛容は双方向でなければならない。揚げ足取りに走り「ナチスの優生思想」などという言葉が飛び交う状況は果たして健全か。重要なのは具体的にバランスを見いだしていく努力である。(しまだ よういち)

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