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【正論】寛容は双方向でなければならぬ 福井県立大学教授・島田洋一

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【正論】
寛容は双方向でなければならぬ 福井県立大学教授・島田洋一

福井県立大学・島田洋一教授 福井県立大学・島田洋一教授

 ≪何が騒ぎを拡大させたのか

 数日後、「判事の権限に基づく」と記した暫定様式で妥協が図られデービスさんは職場復帰、発行業務を再開した。知事もこれを有効と認めた。ところが左派の法曹団体「アメリカ自由人権協会」(ACLU)が、州法の規定通りでない証明書は無効として新たな訴訟を起こす。あくまでデービスさんに署名させろというわけである。不寛容は一体どちらなのか。

 ここにおいて世論の風向きが変わり出す。リベラル派のワシントン・ポスト紙も、「例えば多くの航空会社はイスラム教徒の客室乗務員に酒類の提供サービスを免除している。結婚証明書についても同様の対応が取れるはず。収監は過剰な権力行使だ」などとしたコラムを載せている。

 同年11月、ケンタッキー州で行われた知事選で、収監中のデービスさんを見舞うなど理解を示した共和党の新人が大勝した(なお、デービスさんは民主党員だったが、騒動の渦中、共和党に党籍変更している)。新知事は直ちに結婚証明書に書記官の署名を不要とする行政命令を出し、州議会も同趣旨の法律を通した。ここにおいて問題は正式に解消する。

 以上に明らかな通り、この騒ぎは、右派の不寛容というより、左派の不寛容により多く起因するものであった。「同性愛者の権利と信仰の自由のバランスをいかに取るか」をめぐっては、今年6月4日、最高裁が別の注目すべき判断を下している。

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