産経ニュース

【日曜に書く】スマホは「神経寄生生物」か 論説委員・長辻象平

ニュース コラム

記事詳細

更新

【日曜に書く】
スマホは「神経寄生生物」か 論説委員・長辻象平

「歩きスマホ」をする人(村本聡撮影) 「歩きスマホ」をする人(村本聡撮影)

 スマホは人間の体内にこそ侵入していないが、ポケットやバッグに収まって一緒に移動している。エネルギーの電源と使用料を所有者に依存しているので立派な寄生状態だ。

 神経系を支配するハリガネムシは、コオロギやカマキリといった宿主の繁殖能力を奪うと報告されている。栄養分を寄生生物自身が独り占めにするための不妊化である。

 現代日本の出生率の低下の一因にも幾分か関係していそうな気がしてくるが、これは考えすぎだろうか。

 ◆ゾンビを連想させる姿

 スマホは便利な情報通信端末だが、あくまでも道具であり、手段である。その道具に生活の主導権を握られつつあるのに、警戒心をほとんど抱いていないのが現代人の姿なのだ。

 ゲーム依存だけではない。LINEによる人間関係のトラブルが多発して、それに悩む声も多い。

 児童・生徒の間での「ネットいじめ」にもLINEが利用されるケースが増えている。

 やはり現代人はハリガネムシに操られるコオロギに似ている。歩きスマホは、ホラー映画のゾンビに近い。

 人工知能(AI)は、指数関数的な勢いで能力を高めている。将来の情報通信端末は、体内に埋め込まれるほどに小型化し、体温で作動するようになるのだろう。

 あらがいがたい人類進化の方向性かもしれないが、そうだとすればホモ・サピエンスの将来は暗い。かく言う私もスマホを忘れて出張すると落ち着かない。気味の悪いハリガネムシを思い出して自戒しよう。(ながつじ しょうへい)

「ニュース」のランキング