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【正論】LGBTには「生産性」がある 動物行動学研究家、エッセイスト・竹内久美子

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【正論】
LGBTには「生産性」がある 動物行動学研究家、エッセイスト・竹内久美子

動物行動学研究家、エッセイストの竹内久美子さん 動物行動学研究家、エッセイストの竹内久美子さん

 ≪覆された「ヘルパー仮説」

 そんなわけで1970年代に同性愛者は血縁者、つまり血縁の近さに応じた確率で自分と共通の遺伝子を持つ者の繁殖の手助けをすることで自らの遺伝子を間接的に残しているのではないかという考えが登場した。ヘルパー仮説だ。

 鳥などでは巣立ったものの自分の縄張りを構えることができなかったオスが、両親の次の繁殖で生まれたヒナの世話をすることがある。何もしないよりは、自分の弟や妹の世話をして自分の遺伝子を間接的により残そうとするわけである。こういうオスをヘルパーと言い、人間の同性愛者もヘルパーとしての役割を持っているのではないかと考えられたわけである。

 ヘルパー仮説は長らく有力仮説だったが、2001年になってようやく本格的に検証されるようになった。アメリカ、ノースウェスタン大学のD・ボブロー氏とJ・M・ベイリー氏は男性異性愛者と男性同性愛者のグループを調べ、どれほど血縁者と会ったり、電話をしたりするなどの交流があるか、甥(おい)や姪(めい)などに金銭や物をよくプレゼントするかなど、男性同性愛者が本当に「ヘルパー」としての役割を果たしているのかを検討した。すると、何と男性異性愛者の方がむしろ血縁者のために尽くしているという、逆の結果が表れてしまった。男性同性愛者は「ヘルパー」ではなかったのである。

 ≪生物学的に誤った見解を正せ

 04年になると、イタリア、パドバ大学のA・カンペリオ=キアーニ氏らはある意味、原点に立ち返った調査をした。

 男性同性愛者、男性異性愛者とその血縁者たちからなる、4600人以上もの大集団について繁殖状況を調べたのである。

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