PR

ニュース コラム

【正論】歴史と文学に憧れの人はいるか 大阪大学名誉教授・猪木武徳

Messenger

 実証性という点では同書のベースは決して堅牢(けんろう)なものではない。しかし日本人の精神的な遺産と精神的な独立を尊重した内村が、5人の代表的日本人を取り上げながら日本人を西洋人に知らしめようとした姿勢には感動を覚える。そこには無反省な国粋主義ではなく、日本が生み出した偉人の精神の普遍性への内村の共感が強く表明されているからだ。

 ≪日本の偉人をもっと知るべきだ

 筆者は内村の描いた二宮尊徳の思想と行動にいたくひかれ、小田原の報徳二宮神社や尊徳記念館・報徳博物館を訪れたことがあった。

 報徳二宮神社で「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」と書かれた額を見たときは、いまだ世界はこの箴言(しんげん)を体得していないと思わざるを得なかった(ちなみに「経済」「道徳」「犯罪」という言葉が、江戸末の日常語ではないように思ったので、その出典は調べてみたが明らかにすることはできなかった)。

 いずれにせよ、歴史においても文学においても、日本には誇るべき人物がいる。そうした日本の偉人についてわれわれはどれほど知っているのだろうか。

 それは科学・技術に貢献した偉人に関しても言える。日本の小学生はエジソンはよく知っているが、田中久重や島津源蔵についてはあまり知らないのではないか。(いのき たけのり)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ