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【石平のChina Watch】「側近政治」の失敗と限界

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 しかし、貿易戦争の回避を目指した、習・劉両氏主導の対米貿易協議は結局失敗に終わった。今月6日、トランプ政権はとうとう、340億ドル相当の中国からの輸入品に対し25%の制裁的追加関税を発動した。米中貿易戦争は火ぶたが切られた。

 それを受け、習政権は直ちに、米国からの輸入品に対する同規模の追加関税を報復措置として発動したが、それに対し、トランプ政権はさらに、2千億ドル分の中国からの輸入品に10%の関税を上乗せする追加制裁を行うことを発表した。

 しかしそれでは、中国はもはや、アメリカに対する同等の報復はできない。中国の毎年の、アメリカからの輸入は1500億ドル程度だから、「2千億ドル分の輸入品に対する追加関税」を発動できるわけはない。「やられたら報復するぞ」という習氏流の恫喝(どうかつ)は不発に終わった。

 そしてもし、アメリカが上述の2千億ドル分の中国からの輸入品に対する制裁関税を本当に発動してしまえば、輸出頼みの中国経済に破滅的な打撃を与えかねない。習政権は今、大変な窮地に立たされているのである。

 このような結果となったのには、トランプ政権の決意を甘く見過ぎた習氏自身の判断ミスがあった一方、劉氏という対米交渉の門外漢を起用したことも敗因であろう。

 側近しか信用しない、側近しか使いこなせないという、政治家としての習氏の器の小ささがこれで露呈し、同時に、習近平・個人独裁体制の大いなる限界も見えてきた。

                  

【プロフィル】石平(せき・へい) 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

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