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【石平のChina Watch】「側近政治」の失敗と限界

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 昨年秋の中国共産党第19回全国代表大会(19大)で確立された習近平・個人独裁体制は、縁故主義に基づく「側近政治」を特徴のひとつとしている。

 19大で誕生した新しい共産党政治局25人のメンバーのうち、習氏の幼なじみ、同級生、元部下であった人々は9人に上った。

 その中で習氏の中学校の同級生の劉鶴氏、大学時代のクラスメートの陳希氏、福建省・浙江省地方勤務時代の部下である蔡奇氏などは、能力や人望とは関係なく、習氏個人との縁故によって政治局委員に抜擢(ばってき)され、側近として党と政府の要所要所に配置された。

 それ以来、習氏は一貫して側近たちを使ってトップダウンの独断政治を行っているが、最近、このような政治手法が壁にぶつかって大きくつまずき始めている。

 その一例が米中貿易戦争における政権の失敗である。本来、アメリカから仕掛けられた貿易戦争において中国は圧倒的に不利な立場にあり、いかにして、それを回避するのかが中国の至上命令である。習氏自身もある程度は、「戦争回避」の重要性を認識していたはずだ。

 そのために、習氏は国務院副総理である前述の劉氏を中国側の代表に任命し、今年5月から3回にわたって米国側との通商協議を行った。だが劉氏の代表任命自体がそもそもの失敗であった。

 劉氏は経済畑の幹部で、アメリカ留学の経験もあるが、今まで責任を持って対米外交交渉や貿易交渉に携わったことは一度もない。米中通商協議に関しては、まったくの未経験者である。

 アメリカを相手とする貿易協議には、うってつけの人材が別にいるはずだ。政治局常務委員で筆頭副総理の汪洋氏である。汪氏は習政権下の2013年から17年まで連続5回、中国側の筆頭代表として米中戦略経済会議に参加してきた。まさに対米貿易交渉のベテランである。

 問題は、彼が習氏の側近ではなく、別の派閥である共青団派の人間だということだ。

 それが原因で、習氏は対米交渉のエキスパートである汪氏を敬遠して、側近の劉氏を起用し、大事な対米貿易協議に当たらせた。

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