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【産経抄】7月16日

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 兵庫県西宮市にある中高一貫の名門校、甲陽学院で、村上千秋先生は長く国語を担当していた。ある講習で、生徒にこんな話をしたそうだ。受験の季節になると、あいさつにやって来る受験生の両親についてである。

 ▼私にはまったく力がないから、なんの意味もない。現に私の息子は、この学校の入試に落ちている。息子とは、ノーベル文学賞有力候補の作家、村上春樹氏である。OBで元警視総監の池田克彦氏が先日、日経のコラムで書いていた。

 ▼入試に情実が入り込む隙間はない。そう言い切りたいところだが、特別なルートの存在を信じる人が、後を絶たない。だからこそ、テレビのサスペンスドラマや推理小説で、裏口入学が繰り返し題材に選ばれる。

 ▼文部科学省の前局長が受託収賄容疑で逮捕されたのは、今月4日だった。東京医科大学に便宜を図る見返りに、自分の息子を合格させてもらう。これを果たして賄賂と認定できるのか。異例の事件が新たな展開を見せている。東京医科大学が数年前まで、毎年10人前後の受験生を不正に合格させていた疑いも出てきた。東京地検特捜部はすでに、不正合格者のリストを入手している。

 ▼入試問題の漏洩(ろうえい)や替え玉受験。受験生の父母に嘘の裏口入学を持ちかけ、現金をだまし取る手口もあった。大学が長年にわたって、組織的に特定の受験生を合格させていたとしたら、大学不正入試の歴史のなかでも、悪質さは際だっている。

 ▼「能力がないなら、お前の親を恨め」。韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の友人の娘が、名門女子大に裏口入学後にうそぶいた。この一言が、若者の怒りに火を付け、前大統領は罷免に追い込まれた。リストに載っている元受験生と親は、今頃すくみ上がっているはずだ。

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