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【正論】民心煽るポピュリズムの危うさ 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

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【正論】
民心煽るポピュリズムの危うさ 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

 ≪根源に潜む暗いルサンチマン

 右翼ポピュリズムは欧州だけでの問題ではない。トランプ米大統領の右翼ポピュリストぶりに対する批判は米国でも強い。昨年8月21日の『ワシントン・ポスト』は「トランプ氏の右翼ポピュリスト・メッセージは結局のところ、むなしい」と書いた。16年9月21日の『ニューズウィーク』は「ドナルド・トランプはどこまでアドルフ・ヒトラーに似ているか?」と問い、「両人はあらゆる社会的、政治的問題に対する解毒剤としての個性を持ち合わせている」からだと結論している。

 さらに、米誌『コメンタリー』も同年春、「トランプと右翼ポピュリズム」と題したデーヴィット・ニーヴェルト論文で、こう主張している。「トランプ氏は真意を語る保守派ビジネスマンを気取っているが、…右翼ポピュリスト強硬派へと変身してしまった。その方が選挙に勝てるからである」

 トランプ大統領や欧州諸国に見られる右翼ポピュリズムは結局、メキシコや中東-特にシリア-さらには北アフリカから押し寄せる大量の難民に対して、人々が抱く暗いルサンチマン(恨み)から生み出されてくるのであろう。

 最後に日本はどうか。外務省の発表によると、1982年の難民認定制度導入以降、昨年までの申請数は6万674件で、うち難民と認定されたのはなんと708件だという。人口58万人のルクセンブルクさえ、2000年から16年の17年間にシリアやイラク、イランなどから725人の難民を受け入れているのに。

 ただ、日本が万単位の難民を引き受けたりすれば、民情を煽(あお)り、物情騒然となるのは目に見えている。そうなっては元も子もない。いかにすべきか。すべからく「万機公論に決すべし」で、衆知の結集が必要である。(させ まさもり)

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