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【正論】民心煽るポピュリズムの危うさ 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

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【正論】
民心煽るポピュリズムの危うさ 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛

 ≪難民の大量流入が引き金に

 特に指摘すべきはAfDがドイツ社会に与えたショックだろう。昨年9月24日の総選挙で同党は12・6%を獲得、一挙に第3党の座についた。そのために第4次メルケル政権の発足は今年3月14日へと半年近くもずれ込んでしまった。連立与党の社会民主党(SPD)が得票率20・5%と戦後最悪の惨敗を喫したからである。

 メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)も、戦後混乱期を除けば戦後最低の得票率に甘んじた。二大政党が苦戦したのは、ズバリ言うと難民問題のゆえである。昨年、ドイツでは19万8千強の亡命申請があった。08年以降の10年間の亡命申請合計は201万強である。福岡市の人口より44万ほど多い。しかも亡命申請者数は難民数ではない。亡命申請しない難民もいるからだ。ドイツ人口の40人に1人程度が亡命申請者ということになる。

 英国王立国際問題研究所による世論調査も役に立つ。イスラム圏からの現状以上の移民にピリオドを打つべきかと問われると、「イエス」は先述のハンガリー(64%)、ポーランド(71%)、オーストリア(65%)など、右翼ポピュリズム政権諸国で圧倒的に高い。他方、ドイツは現状以上の移民流入を嫌う声は53%と相対的に低い。苦戦を強いられながら、メルケル首相がCDU・CSUとSPDによる大連立政権からのCSUの離脱をかろうじて阻んだ実績が評価されてきたからだろう。

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