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【国語逍遥】(99)セシールCMのフランス語は「幸せそう」? 聞きなしは気持ちや環境うつしだす 清湖口敏

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 「聞きなしは、写声語とちがって、そう聞きなす人間の気持ちや環境をうつしだすので、興味ふかい」。同書で山口さんはこう述べ、カラスの「阿呆阿呆」も、あることに失敗して一人滅入(めい)っている折にカラスが鳴いたとき、そんなふうに聞こえたりすることはないだろうかと問う。

 普通は「チョット来い、チョット来い」と聞きなされるコジュケイだが、子供におやつをよくねだられる環境にあるお母さんには、「ナンカ呉(ク)レッ、ナンカ呉レッ」と聞こえた例も紹介している。聞き手の気持ちが反映しているのだ。

 セシールの「空耳実態調査」で「幸せそう」が上位にずらりと並んだのも、CM視聴者の「セシール」ブランドに対する憧れや、商品を手にするだけで幸せな気分に浸れそうなワクワク感などが反映した結果とみることもできようか。

 敷衍(ふえん)して言えば日常の日本語会話でも私たちは、われ知らず「聞きなし」をしていることがあるはずだ。相手との人間関係やその場の気持ちによって人の言葉をつい、聞きたいように聞いたり、忖度(そんたく)して聞いたりしてしまう。その結果、話者の真意が歪(ゆが)められる事態も当然起きるだろう。

 国会でしばしば問題になる「政治家の意向」をめぐっても、そこに「聞きなし」などは全く介在しないと、いったい誰が言い切れようか。

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