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【国語逍遙】(99)セシールCMのフランス語は「幸せそう」? 聞きなしは気持ちや環境うつしだす 清湖口敏

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【国語逍遙】
(99)セシールCMのフランス語は「幸せそう」? 聞きなしは気持ちや環境うつしだす 清湖口敏

セシールのサウンドロゴは何て聞こえる? セシールのサウンドロゴは何て聞こえる?

 鳥の声の「聞きなし」については擬声語研究で知られる国語学者、山口仲美さんの著書『ちんちん千鳥のなく声は』に分かりやすい解説がある。カラスのカアカア、スズメのチュンチュン、ウグイスのホーホケキョなどは鳴き声を聞こえるままに写し取った言葉で、山口さんはこれらを「写声語」と呼ぶ。

 これに対しカラスの声を「阿呆(アホウ)阿呆(アホウ)」と聞いたり、ウグイスの声に「法華経」の意味を担わせたりするなど、鳴き声を私たちが普段使う意味ある言葉にあてはめた場合、これは「聞きなし」になるという。

 このことを踏まえたうえでいま、2種の国語辞典で「ほととぎす」を引き、鳴き声に触れた箇所を比べてみると、聞きなしに関する明確な違いが見てとれる。

 「キョキョキョと鋭く鳴く声は、俗に『テッペンカケタカ』と聞こえるという」(新明解国語辞典)

 「するどい声で、『テッペンカケタカ』と鳴く」(三省堂国語辞典)

 いかがだろう。前者は先にキョキョキョの写声語を紹介し、「テッペンカケタカと聞こえる」というふうに聞きなしにも言及している。親切な書きぶりだ。対して後者は、「テッペンカケタカ」が写声語であるかのような印象を与え、不誠実のうらみが否めない。

 『バードウォッチング』(講談社カルチャーブックス)には34種もの鳥の声の聞きなしが列挙されている。先に挙げたウグイスの「法法華経」や、「土喰(く)って虫喰って渋ーい」(ツバメ)「一筆啓上仕(つかまつり)候(そうろう)」(ホオジロ)など比較的よく知られたもののほか、「競輪競輪でパー」(アカハラ)「焼酎一杯グイー」(センダイムシクイ)「俺ルリビタキ!」(ルリビタキ)…と、思わず噴き出しそうな聞きなしまである。

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