PR

ニュース コラム

【正論】リアリズムで対北交渉を進めよ 新潟県立大学教授・袴田茂樹

Messenger

 トランプ氏が高揚した勝利体験

 トランプ氏が金正恩氏との首脳会談に強い自信を抱いた背景として、私はチキンレースでの2回の勝利体験があると考える。

 1回目は、昨年8月の体験だ。北朝鮮は中距離ミサイル「火星12」を米軍基地のあるグアム島に向け4発撃ち込む可能性について声明した。ミサイル経由地の島根、広島、高知県の地名や飛行秒数まで具体的に挙げたので、実際に発射する計画があったはずだ。

 この脅迫に対しトランプ氏は翌日「グアムに何かをすれば、誰もかつて見たことがない事態が北朝鮮で起きる」と脅迫し返した。やがて金正恩氏は「米国の様子をもう少し見る」と、発射を中止した。これは、傲慢な若い独裁者にとり、屈辱的な敗北宣言だった。

 その4カ月前にシリアで化学兵器が使用されたとき、トランプ氏はシリアの空軍基地に59発の巡航ミサイル「トマホーク」を撃ち込んだ。このことが独裁者に強い衝撃を与えていたのだ。

 2回目だが、米朝首脳会談をトランプ氏が提案した後、今年5月に北朝鮮が「一方的な核放棄を強要するなら首脳会談に応じるか否か再考する」と述べ、その後、米副大統領を「まぬけ」と侮辱した。立腹したトランプ氏は首脳会談中止の書簡を金正恩氏に送った。その9時間後に北朝鮮は「いつでも、いかなる形でも、米国と対話の用意がある」との声明を出した。これも独裁者の敗北宣言である。これらのチキンレースの勝利体験がトランプ氏に「あの若造との交渉では絶対に負けない」との自信を与えたと筆者は考える。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ