産経ニュース

【日曜に書く】論説委員・山上直子 「大正」とは何だったのか

ニュース コラム

記事詳細

更新

【日曜に書く】
論説委員・山上直子 「大正」とは何だったのか

 明治でもなく昭和でもなく、大正だ。研究会では、「現代」社会の祖型がこの時代に集中して現れていると考えた。いわく、大衆文化や消費社会、メディア社会、「群衆」の出現、「地方」への関心、さらにいえば職住が離れたライフスタイルのサラリーマン、職業婦人や専業主婦といったものである。

 少し正確にいうと、大正時代を含む1910年代から1930年代。その間、第一次世界大戦の参戦(1914=大正3年)、米騒動(1918=同7年)、関東大震災(1923=同12年)などが起きた。

 また「婦人公論」や「主婦之友」、講談社「キング」などが創刊され、東京放送局がラジオ本放送を開始した時代でもあった。鉄道の沿線開発として関西で宝塚歌劇団の前身・宝塚唱歌隊が設立されたのも、東京で山手線が環状運転を始めたのも大正時代だ。

 サラリーマンの出現

 “民”という視座では、山室さんによる「民生-生存権・生活権への出発」という考察も興味深い。昨年、民生委員制度が100周年を迎え、大正6年の岡山県「済世顧問」制度と翌7年の大阪府「方面委員」制度に始まるという。民の生にかかわる問題が取り上げられるようになったのもこの時代だった。

 重要なのは、その「踊り場」にはそこで生まれたものだけでなく、未発に終わったものも雑多にあって、その可能性に目を向けてみることかもしれない。

 現代の起点としての「大正」を考えてみた。自分のこととしてまず興味を引かれたのは、帰宅困難者という現象を見たばかりの、サラリーマンという存在の出現についてだ。

続きを読む

「ニュース」のランキング