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【新聞に喝!】なぜNHK職員襲撃犯の実名を報じないのか 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

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 また、同31日の記事では「李容疑者は19日に出頭した際、『無責任な報道をする日本のメディアへのメッセージだ』『日本のメディアのトップはNHKだと思った』などと話していたが、現在は黙秘しているという」と報じた。

 他紙による動機の説明はこれに比べると簡略だが、男の標的がメディアであることは共通して言及されている。

 この事件をめぐっては、殺人未遂容疑で男が再逮捕されてからかなり時間が経過しているのに、その後全く関連報道がなく、まことに不可解である。そもそも各紙は、この事件を「切りつけ事件」などと表現しているが、事件の重大性を全く理解していない。

 この事件は明らかに言論・報道に対するまぎれもないテロではないのか。その意味で、昭和62年5月に朝日新聞の小尻知博記者が勤務先の阪神支局で銃撃・殺害された事件と完全に同一だ。

 冒頭の事件を伝える記事には、自分自身にも向けられた卑劣なテロ攻撃に対する危機意識と怒りが、全くと言ってよいほど感じられない。日本大アメリカンフットボール部の悪質な反則問題に関する洪水のような大量報道に比べて、この沈黙の状態はあまりにも異様である。

                  

【プロフィル】酒井信彦

 さかい・のぶひこ 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂(へんさん)所で「大日本史料」の編纂に従事。

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