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【風を読む】TPPに「またか」の声 論説副委員長・長谷川秀行

 会談前、マレーシアのマハティール首相(左)と握手する安倍首相=12日午前、首相官邸
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 シンガポールで米朝首脳会談が開かれたのと同じ日、隣国マレーシアの首脳が東京に来ていた。15年ぶりに首相に復帰したマハティール氏である。復帰後初の外遊先に日本を選んだ。

 そのマハティール氏が経済界との懇談会で、同国を含む環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に慎重姿勢を示した。大国と小国があるのに同じ条件であることが公平か。そんな疑問から「正しい自由貿易はどういうものか」と問いかけたのだ。11カ国で合意したTPP11の再交渉に期待する発言だろう。

 懸念はよくわかる。だが同時に、またか、とも思った。

 もともとマレーシアは、米国を含む12カ国のTPP交渉時から後ろ向きな姿勢がみえた。マレー系住民を優遇するブミプトラ政策に関連して多くの例外扱いを求めていたからだ。昨年のTPP11交渉もそうだった。

 またか、と思ったのは、もう一つ理由がある。国際的な約束でも、政権が代わると、これを否定したり、問題を蒸し返したりする。そんな動きが各国に相次いでいるからである。

 無論、トランプ米政権のTPP離脱が典型である。だが、これは米国だけの話ではない。

 昨秋、TPP11の合意を一時的に拒んだカナダのトルドー首相は元来、前政権の実績であるTPP自体に慎重とされた。9年ぶりに政権交代したニュージーランドもTPP11交渉で、条文の修正を求めて各国を困惑させたことがあった。

 そして今、マハティール氏がナジブ前政権下で合意したTPP11を批判している。

 各国の利害が複雑に絡む通商問題で、時の政権が国益を追求するのは当然である。だが、ぎりぎりの交渉で歩み寄った経緯をないがしろにするような自国第一主義が蔓延(まんえん)すれば、多国間の経済連携は立ちゆかない。

 マハティール首相がどこまで自説を貫くのかは、まだ見えない。マレーシアが抜けても、6カ国が国内手続きを終えればTPP11は発効する。だからといって座視できないのは、こういう形で保護主義が世界に広がることを憂慮するからである。

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