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【正論】玉虫色の米朝合意をどう読むか モラロジ-研究所教授、麗澤大学客員教授・西岡力

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【正論】
玉虫色の米朝合意をどう読むか モラロジ-研究所教授、麗澤大学客員教授・西岡力

西岡力・モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授 西岡力・モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授

 用語と実態を取引した可能性

 「朝鮮半島の完全な非核化」という場合、すでに1990年代初め韓国から米軍の核は撤収したのだから、北朝鮮の核兵器の完全な廃棄を意味すると考えるのが常識だ。ところが、北朝鮮の定義は常識と大きくかけ離れている。

 2016年7月6日に北朝鮮政府代弁人が「『北の非核化』詭弁(きべん)は朝鮮半島非核化の前途をより険しくするだけだ」と題する声明を出した。そこで主張した「朝鮮半島の非核化」は、核兵器があるかもしれない在韓米軍基地を査察し、核を積める戦略爆撃機や空母、潜水艦など戦略兵器の北朝鮮接近を禁止し、在韓米軍を撤退させることが含まれていた。これが2年前の北朝鮮の立場だった。

 金正恩氏がこの立場を変えたのか、変えないままトランプ大統領をだまそうとしているのか。共同声明とトランプ大統領の会見だけでは明確にならない。

 しかし、北朝鮮のだましの手口をよく知っているジョン・ボルトン安保担当補佐官が首脳会談に同席したから、むざむざとだまされたわけでもないはずだ。そのような目で共同声明を見直すと「金委員長は朝鮮半島の完全な非核化への揺るぎない、固い決意を再確認した」という先に引用した部分のすぐ前に「トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を約束し」と書かれていることに大きな意味があることが分かった。米朝の相互の約束が安全の保証と非核化なのだ。

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