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【産経抄】6月13日

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 東欧ルーマニアを24年間支配した独裁者の最期の姿はあわれなものだった。泣きわめく夫人とともに後ろ手に縛られたまま、一斉射撃の銃弾に倒れた。1989年12月、チャウシェスク元大統領夫妻処刑のニュースが世界を駆け巡った。

 ▼ルーマニアとつながりが深い、北朝鮮の故金正日総書記が受けた衝撃はとりわけ大きかった。危機感が、核開発強行に向かわせたとされる。シンガポールで昨日開かれた史上初の米朝首脳会談は、その核の完全な放棄が最大の焦点となった。

 ▼「朝鮮半島との関係がまったく違ったものになる」「世界は重大な変化を知るだろう」。トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、合意文書に署名し、ともに会談の成功を強調した。正恩氏は、体制の保証と引き換えに、核を手放す決心をトランプ氏に伝えたのだろうか。

 ▼実はチャウシェスク氏が冷戦下で繰り広げた独自の外交は、西側諸国の間でも評価が高かった。72年のニクソン訪中でも根回し役を引き受け、ニクソン元米大統領から、「平和への道を切り開いてくれた偉大な男」とたたえられた。それでも結局ルーマニアの経済破綻を招き、国民の恨みを買った。

 ▼「彼は優れた交渉者だ」。トランプ氏も正恩氏を最大限に持ち上げた。確かに、今のところは「ディール(取引)の達人」を自負するトランプ氏と互角に渡り合っているようにみえる。ただ国際社会は、何度も核をめぐる合意を踏みにじってきた、裏切りの歴史を忘れていない。

 ▼日本としては、「拉致問題の解決」は一歩も譲れない。核放棄の見返りが、目に見える形で経済の恩恵につながらないと、国民は納得しない。結局、体制の安泰を保証するのは、自らの実行力である。

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