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【正論】中華文明から民主化は生まれず 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英

静岡大学の楊海英教授
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 民主化を求める市民と青年学生たちに対し、血腥(なまぐさ)い弾圧を行った1989年6月4日の「天安門事件」から29年が過ぎた。この事件の世界史的意義と、「中国史的意義」を抽出してみたい。

 ≪「幽霊のように」消えた共産主義

 まず、世界史的な視野に立って89年を振り返ると、中国の民主化運動も旧ソ連や東ヨーロッパ諸国における反独裁体制的な異議申し立てと連動していたといえよう。20世紀の「人類最大の実験」と評された社会主義体制は最終的に行き詰まり、ソ連と東欧の社会主義諸国、それにモンゴル人民共和国などはほぼ例外なく平和裏に自由主義体制へと移行された。

 ユーラシアの諸民族は無血革命を選択して体制の転換を図ることができた結果から見ると、2度の世界大戦の凄惨(せいさん)な結果を人々は真摯(しんし)に反省し、大きく進歩した偉業である。ソ連邦の崩壊に伴って中央アジア諸国が独立できた点によって、かえって同連邦の優れた特徴が示された。

 というのも、ソ連邦はその憲法内に、民族自決論に即して諸民族に分離独立権を付与していたからである。ロシア人共産主義者たちがユーラシアの諸民族を解放したのではなく、ソ連の崩壊で真の民族自決が実現されたのである。

 マルクスやレーニンの仮説を制度化していこうというプロセスの中で、いくつかの「誤読」も最初から共産主義者たちの脳裏にはあった。たとえば、プロレタリアート階級は民族の垣根を越えて連携できるという理想論はナショナリズムをついに克服できなかった。

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