産経ニュース

【オリンピズム】嘉納治五郎と幻の東京大会(10)IOC委員就任の教え子が支援

ニュース コラム

記事詳細

更新

【オリンピズム】
嘉納治五郎と幻の東京大会(10)IOC委員就任の教え子が支援

 国際連盟事務次長だった杉村は、身長185センチ、体重100キロの巨漢で、スポーツにも造詣が深く、外交経験も豊富だった。東京高等師範学校附属中学時代の数年間の校長が嘉納だったというだけでなく、講道館にも入門していて、柔道は6段。外交官としてフランス勤務中には、柔道の普及にも尽力したという。

 もう一人、副島道正も嘉納を支えることになる。大日本体育協会会長でIOC委員でもあった岸清一の急逝に伴い、34年5月、アテネでのIOC総会で後任に就任する。副島は嘉納が学習院の教頭を務めていた頃に学習院に入学。卒業後、ケンブリッジ大学に学び、貴族院議員も務めたが、学業に関して叱られた経験もあったそうで、嘉納は「怖い存在」だったようだ。一方で、IOCで多くの委員に敬愛されている姿を目の当たりにし、IOC委員が語った嘉納の印象を紹介している。「嘉納翁はIOCの仲間と云ふよりも、世界的に有名な日本武道の柔道の父として親し味を感じる」と。

 肝心の招致レースはウィーン総会の時点で東京、ローマ、ヘルシンキの3都市の争いに絞られていたという。もっとも有力候補は依然としてローマだった。=敬称略(監修 真田久筑波大教授 構成 金子昌世)

「ニュース」のランキング