PR

ニュース コラム

【正論】「上から目線」は厄介な殺し文句 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

社会学者で関西大学東京センター長の竹内洋氏
Messenger

 世に「殺し文句」なるものがある。恋愛やセールスなどで使用される場合は、それを言えば、相手の心を一気に引き寄せることができる巧みな言葉である。

 しかし、会議などで持ち出せばグウの音も出なくなるという殺し文句もある。学生運動が盛んなころには、「学生が騒ぎ出す」が教授会での殺し文句になったものだ。「そんなことをやれば学生が騒ぎ出しますよ」などと使用され、提案が却下されることがよくあった。

 ≪タテ社会への異議申し立て

 グウの音も出なくなるどころか全人格を一刀両断に否定される殺し文句(レッテル)もある。戦前の「非国民」や「不忠者」、戦後の「封建的」や「反動」などが思い出される。

 近年における、この全人格否定の殺し文句の一つに「上から目線」がある。上から見下していると非難の意味でいわれる。21世紀に入って芸能人が使い、それがネットで普及したとされる。平等な関係同士の中で一人、一段高いところから発言する。そのようなときに、その人物を「上から目線で注意するなよ」などとなじることで使われ出したようである。

 とはいえ「上から目線」という言葉自体は新語でも、それを意味する言葉は昔からあった。「えらそうに」がそれである。英語の「ボッシイ」(bossy)もそうだろう。「えらそうに」も「ボッシイ」も、上位者でない者が親分風や先輩風をふかすというように、上位者ぶることに対する揶揄(やゆ)である。だから「上から目線」という用語の登場時には、あくまで上位者でない者が上を気取って発言することを非難する旧来の意味を踏襲しての新語にすぎなかった。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ