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【正論】北の交渉力を侮ってはならない 京都大学大学院教授・中西寛

京都大学大学院教授・中西寛氏
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 ≪悪あがき諦め譲歩し始めたのか

 米朝首脳会談の中止をトランプ大統領が突如発表したところまでは、大方の専門家の予想の範囲内だった。「北朝鮮の非核化」を対話の前提とするアメリカと、「朝鮮半島の非核化」に段階的に進むことを要求してきた北朝鮮の根本的な相違は明らかだったからである。

 加えてこの発表が文在寅韓国大統領の訪米後ほどなく、かつ北朝鮮の豊渓里核実験場の爆破直後に行われたことは、トランプ政権の両国への不満を示したものとすら解釈できた。

 しかし、その後はローラーコースターのように予想外の展開を見せている。北朝鮮はトランプ氏の声明に対して直ちに反応し、前例のないほど丁重に、トランプ氏の決断力と思慮深さを持ち上げた。

 トランプ政権も方針を再転換し、首脳会談実現に改めて動き始めた。畳みかけるように金正恩朝鮮労働党委員長は文在寅氏に呼びかけて、1カ月以内に2度目となる南北首脳会談を行い、両者はカメラの前で抱き合う姿まで見せた。この動きを米政権は歓迎し、板門店とシンガポール、さらにニューヨークで首脳会談に向けた協議を続けている。

 この事態はどのように解釈できるだろうか。一つの解釈は、追いつめられた北朝鮮が悪あがきを諦め、首脳会談実現のために譲歩を見せ始めたという姿である。言いかえれば、交渉家としてトランプ氏が金正恩氏よりも一枚上手だったというものである。

 この解釈はもっともらしいし、北朝鮮内部の事情が分からない以上、間違っていると断定もできない。しかし注意深く観察すると、この解釈は浅薄であり、交渉をコントロールしているのは北朝鮮の方である可能性も見えてくる。

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