PR

ニュース コラム

【産経抄】5月31日

Messenger

 内閣府が今年1月に公表した世論調査の結果にはショックを受けた。運転免許証を保有する70歳以上の高齢者が、家族や医師から運転をやめるように勧められたらどうするか。免許証を返納しようと考える人は、26・3%にすぎなかった。

 ▼ハンドルを手放す決心がなかなかつかない人の耳には、とりわけ甘美に響くだろう。「青春とは人生の一時期のことではなく、心のあり方のことだ」。ひところもてはやされた、サミュエル・ウルマンの詩「青春」の冒頭である。財界の老害の一因になった、との説もある。

 ▼青春というのは、年齢ではない。気持ちはわかるが残念ながら、自動車の運転にはあてはまらない。加齢に伴う視力や反射神経の低下は、確実に事故につながる。高齢者ドライバーによる深刻な事故の頻発が、それを証明している。

 ▼神奈川県茅ケ崎市で28日、乗用車が横断歩道を渡っていた人を次々にはね、女性1人を死亡させた。運転していたのは、90歳の女性である。前橋市で85歳の男性が、登校中の女子高生2人をはねた事故も記憶に新しい。東京都立川市の病院でも2年前、車が暴走して2人が亡くなっている。自動車運転処罰法違反の罪に問われた85歳の女性被告に対して、東京地裁立川支部は30日、禁錮2年の判決を言い渡した。

 ▼ウルマンの詩には、「自信とともに若くあり、恐怖とともに老いる」との一句もある。根拠のない自信こそが、被害者の命を奪い、加害者の家族にも塗炭の苦しみをもたらす、悲劇を招いたといえる。

 ▼昨日のコラムで、89歳にして現役の作家だった故津本陽さんの著作『人生に定年なし』を紹介した。自動車の運転にはやはり、認知症の有無にかかわらず、定年があった方がいい。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ