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【ベルリン物語】共存する癒やしと絶望の絶景

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 わりと出無精な性格なのだが、友人が声をかけてくれるなどして最近は休日に散歩に出かけるようになった。ベルリン生活は6年以上になるが、新発見もあって楽しい。特に気に入ったのはドイツの印象派代表格の画家、マックス・リーバーマンのかつての別荘だ。

 ベルリン西郊外のバンゼーという湖の畔(ほとり)にある。20世紀初めに建てられたが、ナチス時代にはユダヤ人のリーバーマンは嫌がらせを受け、死後、別荘は当局へ売却させられた。妻は収容所送りになる前に自殺。邸宅は2006年に再整備され、一般に公開された。

 特に印象に残ったのは約7千平方メートルの敷地に広がる庭園。新緑の季節に訪れると、花壇にはさまざまな花が咲き、よく手入れされた緑地が湖まで延びる。桟橋から望むと、対岸の砂浜まで見渡せた。「こんな場所があったのか…」。海のないベルリンでもちょっとした“海辺のリゾート”気分を味わえ、癒やされる。

 すぐ近くには別の歴史的建物もある。ナチス高官らがユダヤ人絶滅の実行方法などを決定した「バンゼー会議」の開催地。屋内の窓からは別荘と同じ絶景がうかがえた。会議は冬に開かれたが、「こんな場所で人を絶望に陥れる話がされたとは…」。同じ湖畔で感じた天と地のようなギャップに複雑な思いがした。(宮下日出男)

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