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【正論】停滞に覆われる4期目プーチン 北海道大学名誉教授・木村汎

北海道大学名誉教授の木村汎氏(川口良介撮影) 
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 ロシアのプーチン大統領は5月7日、通算4期目の政権の座についた。ところが、3月18日の当選から数えて僅か2カ月足らずの間に、プーチン氏を取り巻く内外環境は一層厳しいものとなった。プーチン氏は、極言するとそれに対してなす術(すべ)を知らない様子である。これは、私一人に限っての印象なのだろうか。検討に値する。

 ≪「孤独」を募らせるロシアに

 この期間中に、例えば次のような諸事件が発生した。3月25日に西シベリアのケメロボのショッピングセンターで大火災が起こり、64人が死亡した。施設の杜撰(ずさん)な防火管理体制が事故の被害を大きくした。4月14日、米英仏3カ国は、シリア国内の化学兵器関連施設(3カ所)にトマホークなど計105発を撃ち込んだ。シリアのアサド政権がサリン(猛毒の神経ガス)を使用した嫌疑に対する制裁措置だった。攻撃は、アサド政権の後ろ盾を自他ともに認めるプーチン・ロシアのメンツを失わせる行為以外の何物でもなかった。

 実は、ロシア大統領選挙直前の3月4日にも「スクリパリ事件」が発生し、ロシアと欧米諸国の関係は既に十分険悪化していた。英国に亡命したロシア元スパイが「ノビチョク」で襲われた暗殺未遂事件である。

 「ノビチョク」はロシアが独占的に開発した神経剤であることから、英国がロシア外交官を追放したばかりか、30近くにのぼる欧米各国が同調し、同様の処置を講じた。ロシアも報復措置で対抗したために、ロシアと欧米諸国の関係は「ミニ冷戦の開始か」と騒がれるまでに悪化した。

 アジアでは北朝鮮の「非核化」をめぐって米朝韓中が(そして日本すらも)活発かつ慌ただしい動きを見せているのに比べ、ロシアの存在感は希薄といえよう。確かに、トランプ大統領によるイラン核合意の破棄など不穏な中東情勢の推移によって、原油価格は上昇している。だが、ロシアの通貨ルーブルは、必ずしもそれに見合う回復傾向を示していない。むしろ米露関係の悪化の懸念から、プーチン大統領の就任式当日には1ドル=62・75ルーブルへと急落した。

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