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【産経抄】5月16日

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【産経抄】
5月16日

 故篠竹幹夫さんといえば、日本大学アメリカンフットボール部を17度も学生チャンピオンに導いた名将である。下戸だった篠竹さんの合宿所の部屋には、ウイスキーのボトルが並んでいた。「酒好きのヨネヤンが来るのを待っていたんだ」。関西学院大の当時の米田満監督が訪れるたびに、ボトルを開けた。ライバルの両大学は、友情でも結ばれていた。

 ▼篠竹さんが監督を退任してから、日大は低迷を続ける。もっとも昨年12月の甲子園ボウルで、フェニックスの愛称そのままに復活を果たした。前年王者の関学大を破って、27年ぶりに学生日本一に輝いた。その名門チームに何が起こっているのか。

 ▼今月6日に東京都内で行われた関学大との定期戦で、相手クオーターバック(QB)を負傷させた日大選手の反則行為は、悪質きわまりないものだった。公開された動画を見ると、ボールを投げ終えて無防備な関学大のQBに、日大選手は背後からタックルを仕掛けている。退場したQBは全治3週間の診断を受けた

 ▼果たして、危険なタックルは監督の指示によるものなのか。関学大は、日大チームに見解と正式な謝罪を求める抗議文を送付した。日大側は数日間、ホームページに謝罪文を掲載するだけだった。

 ▼19世紀に米国で始まったアメフットは、殴る蹴るが当たり前のゲームだった。死者が続出して、大統領が改善に乗り出す場面もあった。防具の開発も進み、プロフットボールNFLは、今や米国屈指の人気スポーツである。スピードとパワーあふれる肉弾戦は、相手選手への敬意があってこそ成り立つ。

 ▼反則タックルは、日大チームの栄光の歴史に泥を塗っただけではない。アメフットそのものを冒涜(ぼうとく)している。

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