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【正論】シリアで示された米軍の抑制力 新潟県立大学教授・袴田茂樹

9日にテレビで報じられた、炎上するダマスカス南部のシリア軍基地(AP、シリアニュース)
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 プーチン大統領の統治をシステムの機能しない個人依存の「手動統治」と呼ぶが、トランプ政治も露以上の手動統治だ。この米国で昨年12月と翌月に「国家安全保障戦略」と「国防戦略」が発表された。これらは冷戦期のように中露を最大のライバルとしており、全ては取引次第と見て「無戦略」とか「海図なき航海」と言われるトランプ政治のイメージと異なる。

 中露は当然反発し、わが国でも眉を顰(ひそ)めた者は多い。ただ筆者はトランプ大統領の「ツイッター外交」の危うさを強く懸念していたので、両戦略の冷静な現実主義にむしろ安心した。

 ≪日本では悪という非常識が定着

 3月には英国で元露諜報員暗殺未遂事件が、4月には露が支援するシリアへの米英仏の爆撃事件が生じ、欧米と露の関係は米大統領自身が「冷戦時代を含めても最悪」と言うほどになった。露首脳の米国批判も辛辣(しんらつ)となり、国連安保理で拒否権合戦も行っている。

 しかし、この状況の中で露国内に、米国とくに米国防総省の抑制したシリア攻撃を「冷戦時の冷静かつプロフェッショナルな経験の伝統」として、「最善の選択だった」と評価する声があることを紹介したい。そして、状況によっては文民よりも軍こそが軍事力の暴走や深刻な戦争を抑える主導力になるということに目を向け、それをどう考えるか問題提起をしたい。わが国では「軍=悪」という非常識が定着し、国防省という名称もタブーとなっているからだ。

 シリア政権の残虐な化学兵器使用疑惑に関し、トランプ氏は4月8~9日にプーチン氏の責任にも言及し代償を払わせるとして「48時間以内に大きな決断を下す」と述べた。これに対し露は「シリア向け米ミサイルは全て撃墜し、発射地も攻撃する」と応じた。期限の11日にトランプ氏は「ロシアよ準備しろ、高性能のミサイルが飛んで来るぞ」とツイートし、緊張が極度に高まった。

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