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【iRONNA発】追悼 西部邁氏 許せなかった「大衆社会の病理」 舛添要一氏

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【iRONNA発】
追悼 西部邁氏 許せなかった「大衆社会の病理」 舛添要一氏

奈良「正論」懇話会で講演をする西部邁氏=平成22年3月29日、奈良市(前川純一郎撮影) 奈良「正論」懇話会で講演をする西部邁氏=平成22年3月29日、奈良市(前川純一郎撮影)

 25年前、カンボジアで国連ボランティアの中田厚仁氏が銃撃され死亡した際のエピソードも思い出深い。このとき、中田氏の父親は、狼狽(ろうばい)することなくほほ笑みを絶やさずに対応した。その態度を批判する一部の論者に対して、厳しく叱咤(しった)したのが西部氏だった。

 悲しみのときに、あのような高貴な姿勢を維持できる人間の素晴らしさ、それに比べてテレビのワイドショーに出演するコメンテーターの低劣さ、それこそが西部氏が許すことのできない「大衆社会の病理」だった。

 現在は大衆迎合主義やポピュリズム、排外的ナショナリズムを自由な民主主義の祖国である米国のトランプ大統領が鼓吹している。そして、欧州でも同じ風が吹いている。まさにファシズム前夜と言ってもよい状況で、自由な民主主義の行方には暗雲が垂れ込めている。西部氏の絶望の深さが、私にはよく分かる。

 西部氏は酒好きで、仲間と朝まで飲み明かすのを楽しみとした。今ごろ、天国で「ファシズム再来前にこの世からおさらばできてよかったよ」と一人酒を楽しんでいるのではないだろうか。

 【プロフィル】舛添要一

 ますぞえ・よういち 前東京都知事。昭和23年、北九州市生まれ。東大法学部卒。東大教養学部助教授などを経て、国際政治学者として活躍。平成13年の参院選で初当選し厚生労働相などを務めた。26年の東京都知事選で初当選したが、28年6月に辞任。近著に『都知事失格』(小学館)。

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