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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(15)私が会った孫基禎 「過去」よりも「未来」が大事

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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】
(15)私が会った孫基禎 「過去」よりも「未来」が大事

1936年ベルリン五輪のマラソンで金メダルに輝いた孫基禎選手 1936年ベルリン五輪のマラソンで金メダルに輝いた孫基禎選手

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 日本統治下の朝鮮人マラソンランナーとして、1936(昭和11)年のベルリン五輪で金メダルに輝いた孫基禎(ソン・ギジョン)(当時は、日本語読みで「そん・きてい」)に会ったのは、88年に開催された韓国・ソウル五輪のときだった。

 ソウル五輪当時、70代半ばになっていた孫は、マル秘だった開会式の聖火リレー最終走者の有力候補に挙げられ、“時の人”となっていた。国内外のメディアが孫のインタビューを取りたがっていたのは言うまでもない。「会えるはずがない」といわれながらダメもとで電話を入れると、孫は意外な条件を示した。

 「会ってもいいが、時間を指定させてもらう。次の日曜日の朝7時に、●×までおいで!」

 いささか常識外れの日時かとは思ったが、孫がそういうのなら仕方がない。当時、20代の若手記者だった私は早起きして、同い年の韓国人通訳と指定の場所へ向かったが、天気はあいにくの雨。本当に現れるのか、と半信半疑のわれわれの前に、トレーニングウエアでジョギングをする孫が姿を見せた。

 孫は開口一番、ちゃめっ気たっぷりに、こう言ったものだ。「ホントに来たのかね。こんな日時(日曜の朝7時)でおかしいと思わなかったのかい? 実は、君たちが熱心な記者かどうか試したんだよ」

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