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【国語逍遥】(96)清湖口敏 あっ、点がない! 「取り返せばいい」に感激

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【国語逍遥】
(96)清湖口敏 あっ、点がない! 「取り返せばいい」に感激

入場行進で慶応義塾ナインの先頭を行くプラカード=3月23日、甲子園球場(甘利慈撮影) 入場行進で慶応義塾ナインの先頭を行くプラカード=3月23日、甲子園球場(甘利慈撮影)

 今春の選抜高校野球大会の開会式で、入場行進する慶応(神奈川)の選手たちを先導するプラカードの「慶応義塾」の文字に誤りがあった。「応」の中にある「心」の左端の点が欠落していたのである。シールにして貼る際にはがれたのを見落としたそうで、大会本部が「おわび」を表明したのは言うまでもない。

 感激したのは慶応の選手の次の一言だ。朝日新聞によれば、2年生の外野手が「取られた『点』は自分たちで取り返せばいい」と語ったという。機転とユーモアの利いた、若者らしい前向きのすがすがしいコメントである。他を思いやる優しい心ばえでもあった。実際にプラカード作りに携わった人たちは、この言葉にどれほど救われたことかと想像できた。

 慶応は残念ながら彦根東(滋賀)との初戦で、わずかに1点及ばず敗退したが、「取り返せばいい」の闘志がある限り、夏に向けてさらに力をつけ、また甲子園に戻ってくるだろう。

 その開会式の行進…。プラカードに書かれた「慶応義塾」の「応」の中では、自分たちの力で取り返した点がひときわ誇らしげに輝いていることだろう。

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