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【国語逍遥】(96)清湖口敏 あっ、点がない! 「取り返せばいい」に感激

入場行進で慶応義塾ナインの先頭を行くプラカード=3月23日、甲子園球場(甘利慈撮影)
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 漢字文化圏に生きる国民としては当然のことかもしれないが、漢字の一点一画にこだわる人は随分と多いようである。

 例えば姓に「辻」が付く人たちである。弊紙の記事表記ではツジは原則として2点しんにゅうの辻を使うことになっているが、私の知る限り彼らの大半は「生まれてこのかた、1点しんにゅうの辻しか書いたことがない。2点の辻なんて嘘字だ」と信じて疑わない。

 古来、日本人は筆写文字として1点の辻を書き続けてきたのだから、2点の辻こそ漢和辞典に載る正しい字体(印刷標準字体)だといくら説明しても、なかなか納得してもらえない。無理もないことではあるが。

 実は私にも気になってしかたがない点がある。学校で習ってきてすっかり慣れているはずの突や戻、臭の字を書くとき、いまだに下部の大に点を付けたくなるのである。昭和24年に当用漢字字体表が発表されるまでは、これらの漢字の下部は大ではなく犬だった。穴から犬が飛び出すから突然の突になる。しかしこれが大だと、字の成り立ちが全く見えてこない。

 今さら言っても詮ない話ながら、わずか1点を省略することにどれほどの意味があったのかと不思議でならない。たかが1点、されど1点である。

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