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【新聞に喝!】万引の実名記事に違和感 京都大学霊長類研究所教授・正高信男

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【新聞に喝!】
万引の実名記事に違和感 京都大学霊長類研究所教授・正高信男

 19世紀後半、パリやロンドン、ニューヨークに登場した百貨店という新形態の小売店舗の関係者は、店頭の商品を盗もうとする人が著しく増えたことに気づいた。さらに多くの場合に動機が、従来の盗みとは異なっていた。生活が困窮して日用品を盗むというのがそれまでは一般的だったが、お菓子や装飾品などに魅せられたように寄ってゆき、こっそり持ち去る万引が多くなったという。

 当時のフランスの精神科医は、こうした経済的な理由だけに基づかない万引を心の病と考え、「百貨店病」と命名した。今日でも極端なダイエットに失敗し、物を食べては吐くことを繰り返す摂食障害に苦しむ人が常習的に甘味類をスーパーから盗んだりするケースがあるが、百貨店病の一種といえるだろう。

 先月、産経で、マラソンの元世界選手権代表選手がスーパーで万引したとして窃盗罪で起訴された、との記事が目にとまった。起訴状によると、「キャンディー1袋など3点(販売価格計382円)を盗んだ」という。社会面の片隅にある小さな記事だが、実名で報じられていた。

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