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【正論】明治の精神的苛烈さは廃れたか 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

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【正論】
明治の精神的苛烈さは廃れたか 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司氏(瀧誠四郎撮影) 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司氏(瀧誠四郎撮影)

 そのようなことになっている原因は、根本的にいえば現代の日本人が明治維新というものをもはや理解できなくなっているのではないか、ということである。例えば、明治維新の精神の典型である吉田松陰について、今日散見される奇妙な解釈を考えるとき、そのような思いを禁じ得ない。

≪今の日本人に松陰が解るか≫

 『天皇の世紀』の中で大佛次郎は吉田松陰を見事に描いているが、「大獄」の巻の中で「外国人、つまり昔の夷狄の一人のG・B・サンソム」と書き、そのサンソムの松陰観を「野火」の巻で次のように引用している。サンソムは、英国の外交官で、日本研究家としても知られ、著作に『西欧世界と日本』などがある。

 「日本歴史を書いたG・B・サンソム卿が松陰のことを叙して『吉田寅次郎、彼は当惑させられる性格の持主であった。彼の伝記を粗略に読むと、彼が愚か者で、狂信的で無能であったとの印象を受ける。彼は高邁(こうまい)な理想、雄大な構想、野心的計画で充満していたが、大小を問わず着手したすべてのことに失敗した。それは常識の欠如に基づくといえよう。外国の研究者がなぜ彼があれほどまで同時代人の心に強い影響を及ぼし、また後世の人から法外に賞讃されたかを理解するのは、この点で容易なことではない』としている」

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