PR

ニュース コラム

【正論】明治の精神的苛烈さは廃れたか 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司氏(瀧誠四郎撮影)
Messenger

≪維新150年に欠落した視点≫

 今年は、明治維新150年の記念すべき年である。明治の精神についてさまざまな視点からの振り返りが必要であろう。なぜなら、今日の日本人に欠落しているものの多くがそこにあるからである。

 昭和43年の明治維新100年のときには、産経新聞に明治の青春と日露戦争を描いた司馬遼太郎の『坂の上の雲』が連載され、朝日新聞には幕末維新期を描いた大佛次郎の『天皇の世紀』が連載されていた。雑誌などでも明治維新の精神史的意義をとりあげた特集があり、明治の精神への回顧も深いものがあったように思われる。

 しかし明治150年の今年は、明治に対する振り返りがさまざまに行われているのは事実であるが、それが精神史的な深みを持ったものであるかは疑問である。今日の価値観や常識を突き破ってしまう精神の姿に震撼(しんかん)されることを避け、現在的な視点から分析したり解釈したりしているにすぎないようである。明治維新の激動期に噴出した精神的エネルギーを、今日的な通念が許容する範囲で整理しているだけのような気がする。

 明治維新の精神的苛烈さに、こちらが打ち砕かれてしまうようなとらえ方をしなければ、明治維新から何も学べないのではないか。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ