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【日曜に書く】論説委員・山上直子 クニマス「復活の日」とは

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 さらにその隣には、京都大学に保存されていた絶滅前の田沢湖のクニマス標本も載っていた。実は十数年前、京都総局の大学担当だったときに、見せてもらったことがある。ガラス瓶に入った標本は鈍い黄色で元の色を想像するのは難しかった。

 クニマスは「国鱒」とも書かれ、かつて田沢湖に生息した日本の固有種だ。昭和15年、電力と農業用水を確保するため、玉川の強い酸性水を引いた結果、絶滅。ところがその前に、卵が各地に移植されていた。長野や富山、滋賀の琵琶湖、そして山梨では西湖と本栖湖に。そのうち西湖で生き延び、70年後に“発見”されるまで静かに代をつないでいたのである。

 感動したのは、偶然と必然の結果、クニマスが生き残ったらしいことだった。西湖には広くはないが深い湖底部分があり、その水温が低くクニマスの産卵に適していた。またそのために、同じ湖にいる近縁種のヒメマスと交雑が起きなかったという事実である。

 クニマスの身になってみれば、たまたま故郷の田沢湖と似た環境があり、子孫を残していくことができた。実際、もう一方の移植先である本栖湖ではヒメマスとの大規模な交雑が生じ、純粋なクニマスは発見できなかったという報告がある。

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