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【津田俊樹のスポーツ茶論】他社の先輩からの千本ノック

レンジャーズ戦の二回、右前打を放つエンゼルス・大谷=テンピ(共同)
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 書けない。ペンが止まったまま進まない。手書きの原稿用紙をファクスで送る時代だった。締め切り時間が刻々と迫る。手のひらに脂汗がにじみ出る。焦れば焦るほど、一向にマス目を埋められない。

 突然、静かだった記者席が騒がしくなる。「延長戦とはな、両チームとも野球が好きだよ」「4時間もやって、エラーで幕切れなんて締まらないゲームだった」。試合が終わって15分も過ぎていないのに、出稿を終えたベテラン記者たちが解放感に浸っている。速い、いや、速すぎる。

 プロ野球記者の駆け出しの頃、他社の先輩の立ち居振る舞いに目を配った。ニュースに強いタイプ、名文家、記録の大家など個性的で存在感にあふれていた。

 話題の中心は、夜の街とギャンブル。だが、遊んでいるようで、人知れず取材を重ねている。勝手に千本ノックを受けているつもりで必死に食らいつく。「いつか、ああいう記者になりたい」と背中を追った。

 具体的なアドバイスを受けたわけではない。なかなか一人前として扱ってくれなかったが、つらくはなかった。同じ現場を踏んでいる喜びが支えになった。

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