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【日曜に書く】〝不公平〟な南北合同チーム 真の敗者はIOCである 論説委員・別府育郎

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 平昌五輪で同じ役回りを演じたのが、フィギュア男子のネイサン・チェンである。SPのジャンプは失敗の連続で茫然(ぼうぜん)自失の17位発進。フリーでは5つの4回転を跳んで金メダルの羽生の得点を大きく上回ったが、SPのつまずきが大きく、メダルに手は届かなかった。

 勝負に「たら・れば」はないが、もしチェンがSPであれほどのミスを重ねなければ。そう問われた羽生は「自分のリミッターが外れて、さらに超えた演技ができたかもしれない」と答えた。敗者の迫力が勝者を鍛えあげるのだ。

 チェンのフリーの演目「小さな森の小さなダンサー」は米国に亡命した中国人ダンサーの物語である。米国の中国移民の子であるチェンは4年後、父母の祖国で開催される北京五輪で、競技続行を明言した羽生の最大のライバルとなる。今日の敗者は明日の勝者となり得る。ただし、約束はされない。

 スピードスケートにおける小平奈緒と李相花の友情物語を紡ぎあげたのは、ここに至る小平の敗北の歴史と、李が背負うものの大きさである。自国開催で五輪3連覇を期待された李の失意が大きいほど、勝負が真剣なものであったからこそ、小平との抱擁を美しくみせた。

 団体追い抜きにおける日本チームの科学と鍛錬に裏打ちされた隊列の妙を際立たせたのは、決勝で下したオランダチーム個々人の圧倒的な実績、体格、迫力である。優れた敗者の存在を抜きに勝者は輝き難い。

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